婚姻関係破綻とは?|「冷めた夫婦=浮気OK」ではない現実
婚姻関係破綻とは?
―「冷めた夫婦=浮気OK」ではない現実―
配偶者の不倫に関するご相談で、非常によく耳にするのが
「もう夫婦関係は破綻していたから、不貞にはならないですよね?」
という言葉です。
しかし、この考え方には大きな落とし穴があります。
実際の裁判や実務では、
「本人たちがどう思っていたか」ではなく、
「客観的に見て、本当に婚姻関係が終わっていたか」
が厳しく判断されます。

📖 ある相談事例
「もう何年も会話もないし、夫の顔も見たくない。
だから、少しくらい浮気しても問題ないと思っていました」
そう話していた40代女性は、結果として
不貞行為を理由に慰謝料請求を受けることになりました。
なぜでしょうか。
「婚姻関係破綻」とは何か
法律上、「婚姻関係破綻」という言葉に明確な定義はありません。
一般的には、
婚姻関係を今後も継続していくことが極めて困難で、
回復の見込みがない状態
を指します。
そして重要なのは、
裁判所は一つの事情だけで判断しないという点です。
別居しているか
会話があるか
性生活はあるか
経済的な結びつきはどうか
離婚の意思は明確か
これらを総合的に見て判断されます。
破綻と認められやすい代表的なケース
① 長期間の別居

目安として3〜5年以上の別居が挙げられることが多いですが、
これはあくまで目安であり、絶対的な基準ではありません。
・婚姻期間が短い
・別居理由が明確
・離婚の意思が双方にある
こうした事情が重なれば、3年未満でも破綻とされることがあります。
一方で、
・単身赴任
・仕事や介護が理由
・子どものために同居を続けている「家庭内別居」
といった場合は、破綻と認められにくい傾向があります。
② DV・モラルハラスメント

身体的暴力(DV)や、精神的虐待(モラハラ)がある場合、
婚姻関係破綻が認められやすくなります。
有力な証拠としては、
・怪我の写真、動画
・診断書
・警察への相談記録
・暴言の録音
・日記やメモ、LINEの記録
などが挙げられます。
特に継続性・具体性・客観性が重要です。
③ 犯罪行為・服役

配偶者が犯罪を犯し、服役している場合も、
犯罪の内容・服役期間・再犯可能性・婚姻期間などを考慮し、
破綻と判断されることがあります。
④ 家庭の放置

仕事・宗教活動・趣味などに極端に没頭し、
家庭をほとんど顧みない状態が続く場合も、
破綻と評価される可能性があります。
単に「忙しい」「趣味がある」だけでは足りず、
夫婦関係に深刻な影響を与えているかが判断のポイントです。
⑤ 親族との不和

義父母などとの関係悪化が原因で夫婦関係が壊れ、
配偶者が関係修復に努力しなかった場合、
破綻と認められるケースもあります。
⑥ 性格の不一致・性生活の問題

性格の不一致や性生活の問題も、
長期間放置され、回復不能となれば破綻理由となり得ます。
・常に衝突している
・一方的な性交拒否
・社会通念を逸脱した性的要求
などが積み重なると、判断材料になります。
⑦ 不就労・浪費・過剰飲酒

働く能力があるのに働かない
生活費を入れない
ギャンブルや浪費で家計を破綻させる
こうした行為も、婚姻関係破綻と評価される可能性があります。
婚姻関係破綻が認められるとどうなるか
① 離婚が認められやすくなる
裁判になった場合、
民法770条1項5号
「その他婚姻を継続し難い重大な事由」
に該当し、離婚が認められやすくなります。

② 不貞慰謝料が請求できなくなる
不貞慰謝料は、
「婚姻生活の平和」が侵害された場合に発生します。
すでに婚姻関係が破綻していれば、
その平和自体が存在しないと判断され、
慰謝料請求が否定される可能性が高くなります。
ここが、多くの相談者が最も不安に感じるポイントです。
「破綻していなかった」ことを示す証拠
裁判では、
相手:「もう破綻していた」
こちら:「まだ破綻していなかった」
という構図になることが非常に多いです。
そのため、次のような証拠が重要になります。
・同居していた、別居が短期間
住民票、公共料金、郵便物など
・性交渉があった

LINEのやり取りなどが有効な間接証拠になります
・一緒に外出・旅行していた

領収書、写真、クレジットカード明細、第三者の証言など
・日常的なコミュニケーション


体調を気遣う連絡
子どもの話し合い
休日の予定相談
これらは、
**「まだ夫婦としての実態があった」**ことを示す重要な材料です。
まとめ
・「冷えた夫婦」=「婚姻関係破綻」ではない
・破綻かどうかは、裁判官が客観的に判断する
・破綻が認められるケースは、実はそれほど多くない
・不貞の慰謝料請求では、「破綻前か後か」が決定的に重要
だからこそ、
「怪しい」と感じた時点で、
破綻する前に証拠を押さえることが、最も有利な選択
になります。
不安がある場合は、
調査と並行して「破綻していなかった証拠」を残すこと、
そして早めに専門家へ相談することが重要です。



