不貞行為があった場合の慰謝料請求の金額に関して前回書きましたが、
相手の状況や立場によっては、慰謝料の請求を回避されてしまうパターンがありますので
注意が必要です。
以下にまとめてみました。
不貞慰謝料請求された場合に応じなくて済むパターン
①W不倫であった場合
W不倫であった場合、
A夫とA妻
B夫とB妻 の二組の夫婦でA夫とB妻がW不倫を行っていたとします。
A妻はB妻に、B夫はA夫に不貞慰謝料請求を行う事になります。
二組とも離婚せずに結婚生活を続けるのであれば、夫婦の財布は一緒と考えると、獲得できるお金と支払うお金でプラスマイナスゼロになってしまうので、面倒な手続きは行わず、慰謝料請求は無しになる可能性が高くなります。
ただ、A夫とA妻の夫婦は離婚するとなった場合は、
A妻はB妻に慰謝料を請求し、B夫からの慰謝料請求に関しては、離婚して財布は別になっているA夫が支払う事になるので、慰謝料のやり取りが発生する場合があります。
双方共に離婚に至った場合も同じ事が言え、W不倫であっても慰謝料請求が発生する可能性が上がります。
②時効になってしまっている場合
「不貞行為」は民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求に当たり、
不法行為に基づく損害賠償請求は、
被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しない時は、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも同様とする。
と民法724条で定められています。
A,不貞行為があったという事実を認識し、加害者(浮気相手)の名前と住所を知った時
から3年の間に損害賠償請求を行わなければ時効になる
B,不貞行為が始まってから20年経過すれば時効となる
AとBは比べた場合に短い方が適用となるので、
不貞行為が始まってから20年経過していなくても、不倫の事実と不倫相手を知ってから3
年が経過していれば不倫相手への慰謝料請求は時効となります。
ただ、配偶者へ不貞慰謝料請求を行う場合は例外で、
夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は完成しない(民法159条)
と定められているので、20年経過していても、離婚成立から6ヶ月の間であれば、配偶者に対しての慰謝料請求は可能です。
③相手が既婚者であることを知らなかった
相手が独身と偽っていてそれを信じていた場合などは、慰謝料請求を回避できる可能性が高くなります。
④肉体関係までは無かった
親しくしていた場合でも、肉体関係、いわゆる不貞行為が無かった場合には慰謝料請求を回避できる可能性は高いです。
不貞行為とは性交渉を指すので、キスや手を繋いでいた事実があっても不貞行為とはみなされなくなります。
⑤相手から不貞行為を強要されていた場合
肉体関係があったとしても、相手が職場の上司など強い立場にある人間で、行為を強要されていた場合などは、本人にその意思が無かったとみなされ、慰謝料請求を回避できる可能性が高くなります。
⑥夫婦関係が破綻していた
慰謝料請求を行う側の夫婦が、不貞行為が始まった時点ですでに夫婦関係が破綻していたとみなされた場合(別居していた、離婚に向けての話し合いが始まっていた)は不貞行為事態が請求者への精神的ダメージを与えたとは判断されず、慰謝料請求を回避できるケースがあります。
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以上のケースに該当する場合は、不貞慰謝料請求をされても、支払いを回避する事ができたり、金額を減額する事が可能ですので、請求を考えている場合は注意が必要です。
何年も悩んでいる間に時効が、、、というケースもよく聞きますので、早めに動かれる事をお勧め致します。
どんな小さな事でもご相談に乗らせて頂きますので、お気軽にご連絡下さい。