本稿では「合算1回分」vs「相手ごとの個別請求」という考え方の違い、判断のポイント、探偵が用意すべき証拠の質を整理します。

同じ証拠なのに結果が違う?不倫慰謝料「合算1回分」vs「個別請求」問題を整理
目次
事例:3人の不倫が発覚、全員に請求したい
探偵調査により、夫が3人の女性と不倫していた事実が判明。
手つなぎ・寄り添い・キス、そしてホテル出入りの映像と静止画が揃っている。
依頼者の希望は「全員に慰謝料請求」。
弁護士A(慎重派)とB(強気)の見解比較
| 観点 | 弁護士A(慎重派) | 弁護士B(強気) |
|---|---|---|
| 考え方 | 精神的損害は一個(一連の不法行為) | 各相手が別個の加害者(独立の侵害) |
| 請求方法 | 合計で一回分の請求 | 各相手へ個別請求(場合により併合・別訴) |
| 想定金額 | 総額100万円前後を目安 | 1人100万円×3=300万円超も交渉余地 |
| 争点とリスク | 保守的で減額リスクは小さめ | 争点増・重複評価指摘で減額の可能性 |
| 向いている人 | 早期解決・確実性重視 | 制裁・抑止を強く求める人 |
なぜ同じ証拠でも見解が割れる?
- 一体性か独立性かの評価:時期・重なり・関係の独立性(同時並行/連続性/相互認識の有無)で、一連の侵害か別個の侵害か評価が分かれる。
- 損害の重複禁止:裁判では二重取りの禁止(同一損害の重複賠償は不可)が厳密に見られる。
- 裁量要素:婚姻期間、子の有無、悪質性(妊娠・中絶、反復、隠蔽)、社会的影響等で金額は上下。
慰謝料を左右する「証拠の質」チェックリスト
- 不貞の核心:ホテル出入りの時刻・回数・連続性(静止画+動画、複数日)
- 相手の既婚知:相手が配偶者の存在を知っていたことの傍証(メッセージ等)
- 独立性の裏づけ:3人の関係が別個である証拠(相互連絡なし・期間重複の有無)
- 本人特定:顔/服装/動線の一貫性、防犯カメラとの照合
- データ保全:撮影原本、撮影者メモ、時系列の一覧化
弁護士選びのポイント
- 戦略合意:合算でいくか、個別で攻めるかの方針を事前に明確化。
- 見通しと費用:成功可能性・減額リスク・費用対効果を数値で説明してくれるか。
- 交渉姿勢:和解優先か判決志向か。依頼者の希望(制裁/早期終結)に合わせられるか。
よくある質問(FAQ)
Q1. 3人全員から「各100万円」取れますか?
A. 可能性はありますが、重複評価の調整で合計が圧縮されることも。独立性と悪質性の立証が鍵です。
Q2. 夫と相手の「共同不法行為」として請求できますか?
A. 可能な場面もありますが、誰がどの損害を与えたかの評価が入るため、方針は個別に検討が必要です。
Q3. 調停と訴訟、どちらが良い?
A. 費用・時間・公開性・心理的負担が異なります。弁護士と費用対効果で比較検討しましょう。
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更新日:2025-11-09