長岡京ワラビ採り殺人事件 ―― 山中に残された「助けてください」のメモ
1979年(昭和54年)5月23日、京都府長岡京市の山中で、2人の主婦が何者かによって惨殺される事件が発生しました。
「長岡京ワラビ採り殺人事件」として語り継がれるこの事件は、性的暴行・執拗な暴力・不可解なメモなど、数々の異常性を伴ったまま、未解決となっています。
■ 事件の発覚
被害者は、近隣に住む主婦Aさん(43歳)とBさん(32歳)。2人は同じスーパーでパート勤務しており、仕事終わりにワラビ採りのため山中に向かいました。
そのまま帰宅せず、翌日に捜索隊が出動。山の中で2人の遺体が発見されました。いずれも着衣が乱れており、性的暴行を受けた可能性が高いとされました。
■ 残されたメモ
Aさんのポケットからは、震えるような乱筆で書かれたメモが発見されました。
「オワレている たすけて下さい この男の人わるい人」
誰かに助けを求めるつもりで書いたものの、渡す機会もなくポケットに残されたと推測されています。
■ 残虐な犯行の痕跡
- Aさんは30箇所以上を殴打され、肋骨が折れ肝臓が破裂
- Bさんは50箇所以上の打撲、さらに包丁が突き刺さったまま
- AさんからはO型の精液が検出され、強姦の痕跡あり
🕵️ 探偵として読み解く:不可解な点と犯人像
● 残されたメモの意味
犯人が即殺害せず、一定時間拘束していた可能性が高い。被害者はその間に、自分の身に起こっていることを何とか伝えようとしていた。
● 単独犯か、複数犯か?
2人の女性を制圧・暴行・殺害し、遺体を放置した行動から、複数犯説も浮上。しかし、現場に残された証拠は乏しく断定には至っていません。
● 捜査線上に浮かんだ人物たち
- 少年C:地元の空手経験者で、現場付近に出入りしていた情報があり、暴力的な性格が問題視されていた。
- 建設作業員D・E:共に空手経験者で、被害者と面識がある可能性があり、不審な言動が確認された。
- ハイカー風の20〜30代の男2人組:事件当日、現場付近で目撃されたが身元が特定されていない。
- 不審な中年男:目撃証言によると、事件前後に現場周辺で挙動不審だったとの報告がある。
- 勝田清孝:後に広域重要指定事件で死刑となった連続強姦殺人犯。手口に類似性があるとされたが、決定的な関連性は認められなかった。
いずれも決定打となる証拠に欠け、立件には至っていません。
■ 類似事件との関連性
5年後、長岡京市内で別の主婦が滅多刺しにされた上、布団で巻かれ火をつけられる事件が発生。
手口の残虐さから関連性が疑われましたが、結論は出ず未解決のままです。
主婦2人が遭遇した惨劇、ポケットのメモに込められた悲痛な叫びは、時を超えて多くの人の記憶に残されています。